「東京観光写真倶楽部」に寄せて
写真とは、まさに光を観ること。
それこそ”観光”そのものとも言えます。
そして、その”観光する”ことを
主たる活動内容とするこの写真倶楽部も、
とても自然発生的に誕生しました。
最初は、何人かの友人から、
「カメラが欲しいんですけれど、どれがいいですか?」
という質問をよくされたり、
「どこかに写真を撮りに行くときに、
ついて行ってもいいですか?」と言われてみたり、
そんな人たちが、10数名いましたので、
「みんなで写真でも撮りに行こうか」となったのです。
何だかそれが、すごく楽しかったので、
だったら、いっそのこと倶楽部にしようかということで、
この写真倶楽部は始まりました。


ぼくは常日頃より、写真というのは
とても主観的なものだと感じています。
ところが、この倶楽部のように、
同じ場所で、同じ時間を共有することで、
複数の主観が、必然としてそこに生まれました。
ですので、その写真たちは
ひとつの固まりとして観たときに、
明らかに、普段ぼくたちが見慣れている写真とは
かなり違った印象を持って、
”複眼が見たもの”ならではの、
新しい写真が、生まれてきたように感じたのです。
しかも、そこには複眼でなくては見えないものが、
予想以上に、とても”あたたかい光景”として
写ってくることも、すごくうれしいことでした。

そして同時に、何度か撮影会を繰り返していると
そこには、この迷路のように複雑に絡み合っている
東京という土地の、”ほんとうの東京”のすがたも、
はっきりと浮かび上がってきたように感じています。
そして、ぼくは、そんな写真も、
そんな東京も、大好きなのです。
だからこそ、これからも、ちょっと見過ごしがちな、
もっと楽しくて、どこか少し懐かしくて、
それでも、きっとここに暮らす誰もが知っている
”ぼくたちの東京”がたくさんつまった
”新しい写真”や”新しいもの”たちを、
たくさん観てみたいと思っています。
もしかしたら、それこそが、
”ほんとうの観光”なのかもしれませんね。



「東京観光写真倶楽部」部長 菅原一剛


菅原一剛氏プロフィール

1960年札幌生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業後、早崎治氏に師事。

フランスにて写真家として活動を開始して以来、数多くの個展を開催。

1996年に撮影監督を務めた映画「青い魚」は、ベルリン国際映画祭に正式招待作品として上映される。2004年、フランス国立図書館にパーマネントコレクションとして収蔵される。2005年、ニューヨークのPace MacGill Galleryにて開催された「Made In The Shade」展にロバート・フランク氏と共に参加。また同年、アニメ」「蟲師」のオープニングディレクターを務めるなど、従来の写真表現を越え、多岐にわたり活動の領域を広げている。

2010年、サンディエゴ写真美術館に作品が収蔵される。2014年、初の作品集「Daylight | Blue」上梓

現在「ほぼ日刊イトイ新聞」にて、2008年に書籍化された連載「写真がもっと好きになる。」の続編として「現場編」を連載中。


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